温水式除草をどう改良するか|施工スピードと地中温度に挑む実験計画(第3回)

こんにちは。千葉県八街市で産業廃棄物の収集運搬・中間処理を行っている、みとみ商事株式会社です。薬剤を使わない温水式除草について、第1回では施工のご報告を、第2回では施工後6日間の定点観測をお届けしました。今回は第3回、これから取り組む実験の計画についてです。
まだ実施前の内容ですので、成果のご報告ではありません。ただ、どこに問題があると考え、それをどう潰しにいくのか。その筋道をお伝えしておくことにも意味があると思っています。次回、結果が出たときに答え合わせをしていただけますので。
■ 前回までに見えた、三つの壁/温水式除草 改良

観察から浮かび上がった課題を整理すると、次の三つに集約されます。
・遅い。1平方メートルあたり約1分という施工速度では、1日にこなせる面積が限られます。・ムラが出る。作業者がノズルを振って回る方式では、当て漏らしと死角が必ず生まれます。・根まで届ききらない。地上部は枯れても、地際の成長点が生き残れば1週間ほどで再生が始まります。
三つとも別々の問題に見えますが、突き詰めると同じ一点に行き着きます。「必要な熱を、必要な深さに、必要な時間届けられていない」ということです。今回の実験は、この一点に対して三方向から手を入れる計画です。
■ 実験1:ノズルを改良して、吐出量を上げる
〇 現状は毎分7〜8リットル
まず着手するのが、温水ジェッターの改良です。現在の吐出量を実測したところ、毎分およそ7〜8リットルでした。第1回で「機械の型番から計算すると毎分14リットル」と書きましたが、実際に出ている量はその半分程度ということになります。加熱部を通らずに戻る水が多いのではないか、という当時の見立てを裏づける数字です。
出ている湯量が半分であれば、同じ面積を処理するのに倍の時間がかかります。施工速度の遅さは、腕の問題ではなく機材の問題という部分が大きい。ここを改善しないまま作業を急いでも、当てる時間が足りなくなるだけです。
〇 ノズルの改良を絶対条件とします
吐出量を最大化するために、ノズルの改良を必須条件として検討します。既製のノズルをそのまま使う前提では、この壁は越えられないと判断しました。当社は廃タイヤやゴムクローラーといった難処理物を扱うにあたり、専用の大型切断機をオーダーメイドで製作してきた経緯があります。汎用の機械では対応できないものに、自分たちで形を作って向き合う。その手法を、今回も持ち込むことになります。
ただし、湯量を増やせば単純に良いというものでもありません。流量を上げれば加熱部を通る時間が短くなり、水温が下がる可能性があります。温度を確保しながら量を増やせるのか。そこが設計上の難所になりそうです。
■ 実験2:「蒸らす」工程を試します
〇 熱を逃がさないための一手
第2回で、当てた範囲だけが鋭く枯れ、当て漏らした場所はそのまま残ることをご報告しました。かけたお湯は地面に触れた瞬間から放熱を始めますので、開放状態で撒いている限り、熱の多くは空気中へ逃げていきます。
そこで導入を試みるのが「蒸らす」工程です。湯をかけた直後の地面を覆い、逃げようとする熱を地中に押し込む。料理でいえば、火を止めてから蓋をして余熱を通す考え方に近いものです。
〇 目的は、時間の短縮です
誤解のないように申し上げると、蒸らす目的は「もっと長く時間をかけること」ではありません。逆です。同じ熱量でより深くまで届けられれば、1か所に当てる秒数を減らせるはずだ、という狙いです。第1回で1株あたり25〜30秒という見立てをお伝えしましたが、この秒数を短縮できるかどうかが分かれ目になります。
適切な機材と方法は、これから考案します。どの程度の大きさで覆うのか、何で覆うのか、覆っている間に次の場所を施工できる段取りが組めるのか。実際にやってみないと分からないことばかりです。
■ 実験3:地中10センチで、60度を保てるか
〇 見るべきは、葉の色ではなく地中の温度
三つ目が、改良したシステムでの温度検証です。これが今回の実験の中心になります。
温水式除草で参考にされている条件のひとつに、地中の温度を60度程度まで上げるという考え方があります。植物の細胞内のタンパク質は、およそ60度を超えると変性して元に戻らなくなります。地上部が枯れるかどうかではなく、根と成長点がある深さでその温度に達したかどうかが、再生するかしないかを決めるわけです。
第2回で、枯れた株の中央から新しい芽が立ち上がっている写真をご紹介しました。あれは、地上部には十分な熱が入ったものの、地際から下には届かなかった株です。葉の色は指標になりません。見るべきは地中の温度です。
〇 蒸らしの有無で、比較します
そこで、地中10センチなどの深さに温度計を差し込み、施工中と施工後の温度を実測します。目標は、60度をどれだけの時間維持できるかの把握です。
この検証は、次の二条件で実施します。
・蒸らした場合・蒸らさなかった場合
同じ機材、同じ秒数で施工し、覆うか覆わないかだけを変える。こうすれば、蒸らす工程にどれだけの効果があるのかを数字で比べられます。もし蒸らしによって60度の維持時間が明確に伸びるのであれば、機材開発の方向性はそこで確定します。逆に差が出なければ、別の手を考える必要があります。
数字で出るということは、都合の悪い結果も出るということです。それも含めてご報告します。
■ なぜここまでやるのか
正直に申し上げれば、温水式除草は現時点で万能な技術ではありません。速さでも価格でも、通常の草刈りや除草剤には敵いません。それでも取り組んでいるのは、薬剤を流せない場所が現実に存在するからです。河川敷、水源に近い区域、太陽光パネルの周辺。そうした場所で、代わりになる手段は限られています。
そして、その場所に技術をお届けするには、「だいたい枯れます」では通用しません。何度の湯を、何秒間、どの深さまで届けたのか。それを説明できて初めて、お客様に責任を持ってご提案できます。地中温度を測るのは、そのための準備です。
当社は産業廃棄物の収集運搬・中間処理を本業とし、他社様では扱いの難しい難処理物を、独自の切断技術で資源として再生する仕事を続けてきました。できることとできないことを正確に把握してから提案する。その順序は、どの事業でも変えないつもりです。
■ 今後も実験・検証・改良を継続します
今後も、今回の検証で見つけられた問題点を検証・改良を続けていきます。 その進捗をこちらでまたご報告していきたいと思います。
産業廃棄物の処分や敷地の管理でお困りのことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。お見積りは無料です。他社様で断られてしまった難しい案件も、まずは一度お話をお聞かせいただければと思います。



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