除草剤を使わない「温水式除草」は現場で使えるのか|デモンストレーション参加レポート

更新日:1 日前
こんにちは。
千葉県八街市で産業廃棄物の収集運搬・中間処理を行っている、みとみ商事株式会社です。
今回は、当社が先日参加した「温水式除草」のデモンストレーションについてご報告します。薬剤を使わずに雑草を処理する方法として注目されている技術ですが、実際に現場で見て、触ってみると、期待できる点と、正直に申し上げて課題だと感じた点の両方がありました。同じように除草作業で頭を悩ませている事業者様や施設管理のご担当者様の参考になればと思い、できるだけ包み隠さずお伝えします。
温水式除草とは、どういう技術なのか
温水式除草は、その名のとおり高温のお湯を雑草にかけて枯らす除草方法です。薬剤をまったく使わないため、除草剤の使用が制限されている場所でも施工できることが最大の特徴です。今回のデモンストレーションでは、某メーカー様の温水機材を使用させていただきました。
仕組みはとてもシンプルで、機械が水の流れを検知するとコイルが発熱し、そこを通過する水を一気に加熱します。作動を開始してから1分弱でお湯が使えるようになり、当日の水温は約90度でした。機械の設計上の最高温度は150度まで上がりますが、今回は水が加熱部を通る時間を長く取って温度を確実に上げるため、圧力をあえて5〜6メガパスカルまで下げて運用していました。勢いよくかけるよりも、しっかり熱いお湯を根元に届けることを優先した設定です。
温水式除草は、熱によって植物の細胞を壊して枯らす技術です
原理は単純で、植物の細胞内のタンパク質は約60度を超えると熱変性し、細胞膜も破壊されます。組織が壊れれば水分と養分の通り道が失われ、植物は再生できずに枯れます。薬剤のように代謝を阻害するのではなく、物理的に組織を壊すため、薬剤耐性のような問題が起こりません。
ただし、枯らすべき対象は葉ではなく「成長点と根」です。地上部だけが変色しても、地際の成長点や地下茎が生きていれば再生します。したがって必要条件は「一定温度以上を、根まで届く深さで、一定時間維持すること」に整理できます。温度と時間は交換可能な関係にあり、温度が低ければより長い時間が必要になります。
施工の基本は「押し倒しながら根元に当てる」
実際の作業は、草を押し倒しながら、露出した根元にお湯を当てていく動作が基本になります。目安は1平方メートルあたり約1分。事前に草刈りをしておけば効率は上がりますが、背の高い草でも熱を受けるとしんなり倒れてくれるため、伸びた状態からでも作業自体は可能でした。お湯がかかった部分は葉の色が変わるので、施工済みかどうかが目で見て分かります。単純なことですが、広い面積を扱う現場では地味に助かるポイントです。
何秒かければ本当に枯れるのか、検証してみました
いちばん知りたかったのは、「どれくらいの時間をかければ確実に枯れるのか」という点です。そこで、複数の雑草の株に対して、それぞれ10秒、20秒、30秒と散布時間を変えて施工し、効果を比べる実験を行いました。
結果として、30秒程度かけた株は干し草のような匂いが強くなり、葉が完全に変色しました。この感触から、確実な効果を得るには1株あたり25〜30秒程度の施工時間が必要ではないか、という見立てになりました。最終的な枯れ具合の確認は、24時間ごとに日々の経過を定点観測して行うことにしています。 (この変化の様子は次回のリポートとしてお伝えする予定です。)
なお、当日は前日に雨が降っていた影響で地温が下がっていました。地面が冷えていると、かけたお湯の熱が地中に届く前に奪われてしまうため、効果が出にくくなる可能性があります。参加者の中にも、以前試したときに思ったように枯れなかった経験をお持ちの方がいらっしゃいました。天候と地温が結果を左右する技術である、という点は押さえておくべきだと感じました。
機材の仕様やアイデア
使用したノズルは2種類です。ひとつは手持ちで局所的に使うスポット用。もうひとつは道路脇などの広い範囲を一度に処理する幅広バータイプで、幅は650mm、材質はステンレス(304)でした。構造は単純なシャワー形式で、思ったより軽く、片手で扱える範囲だったことは好印象でした。


現場から出た改良アイデア「蒸し」方式
デモンストレーションを通して見えてきた弱点は、「熱が逃げやすい」ことと「作業者によってムラが出やすい」ことでした。そこで参加者から提案されたのが、熱を閉じ込める「蒸し」方式です。
具体的な言及は出来かねますが、「熱が逃げやすい」ことと「作業者によってムラが出やすい」こと、この懸念を改善する方法のヒントはみつかりました。
この方式が実現すれば、作業者は機材を所定の位置に置いて待つだけでよくなります。人の腕に左右されず品質が安定しますし、「何秒間、この温度で処理しました」とお客様に説明できるようになる点も大きな価値だと感じました。
正直に感じた課題
期待できる技術ではありますが、そのまま事業化できるとは考えていません。会議では、従来工法との比較から課題を整理しました。
・生産性の差:手刈りによる除草が1人1日あたり1,000平米程度こなせるのに対し、温水式除草は理論上の最大値でも1日480平米、実質的には300〜400平米という試算になりました。・単価の壁も懸念点は見られます。
・熟練度によるばらつき:作業に慣れてくると無意識にスピードが上がり、必要な秒数をかけられなくなる恐れがあります。
・枯れにくい雑草がある:スギナのように根が深い植物は枯れ残る可能性が高く、対象植物の見極めが欠かせません。
・ホース延長時の温度低下:ホースを100mまで延ばすと、外気温の影響で先端の水温がい一定温度下がる可能性があります。根を枯らすだけの温度を保てなくなるため、ここでも熱を閉じ込める工夫が重要になります。
・水の消費効率:機械の型番から水の消費量は毎分14リッターと計算できますが、実際には加熱部を通らず戻る水が多く、効率面で改善の余地がありそうです。
また、秋口に施工した効果が翌春まで続くのかどうか、長期的なデータがまだ手元にありません。施工周期は3〜4か月が目安とされていますが、この裏付けが取れればお客様への提案力は格段に上がるはずです。
それでも温水式除草が生きる現場がある
こうして並べると弱点が目立ちますが、だからこそ「どこで使うか」がはっきりしてきました。
スピードと価格で通常の草刈りや除草剤と正面から競争すれば、まず勝てません。実際、農業の現場からは時間対効果が悪いという声も聞かれます。一方で、薬剤を流したくない河川敷、水源に近い区域、環境への配慮を理由に自治体が予算を組むような場所では、代わりになる工法が限られます。太陽光パネルの周辺のように、除草剤を使えないために年に数回の手作業で対応している現場も少なくありません。
つまり温水式除草は、安さや速さではなく「薬剤を使わずに処理できる」という付加価値を評価してくださるお客様に、きちんとした単価でご提供する技術なのだと理解しました。
環境への配慮を、説明できる価値にするために
いま社会全体で、脱炭素や循環経済(サーキュラーエコノミー)への取り組みが企業評価の一部になりつつあります。自社の敷地管理で薬剤を使わない選択をしたことも、環境への配慮を社外に説明する材料になり得ます。ただし、そのためには「本当に効果があったのか」を示せるデータが必要です。何度も現場に通い、季節ごとの効果を記録していく地道な積み重ねが、結局はいちばんの説得材料になると考えています。
当社は産業廃棄物の収集運搬・中間処理を本業とし、他社では扱いの難しい廃タイヤやゴムクローラーといった難処理物を、独自の切断技術で資源として再生する仕事を続けてきました。「捨てるのではなく、眠っている資源を未来へつなげる」という考え方は、薬剤に頼らない除草という発想とも通じるところがあります。今回学んだことを持ち帰り、自社の現場で検証を重ねながら、お客様に自信を持ってご提案できる形を探っていきます。
まとめ
温水式除草は、薬剤を使えない現場にとって現実的な選択肢のひとつです。ただし1株あたり25〜30秒という施工時間、地温や天候の影響、ホース延長時の温度低下といった条件を理解しておかないと、「思ったように枯れなかった」という結果になりかねません。導入を検討される際は、対象となる雑草の種類と面積、そして年間の稼働見込みを整理したうえでご判断いただくのが安全だと思います。
産業廃棄物の処分などで「これはどこに頼めばいいのだろう」と迷われたときは、どうぞお気軽にご相談ください。お見積りは無料です。他社様で断られてしまった難しい案件も、まずは一度お話をお聞かせいただければと思います。


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